かぜのねの吹くほうへ

ただそこにあるものを同じ色や形のまま

ハナウタ

「ココロの設計図」を作ったときに、ある種「泣きポップ」としては完成形だな、と思うのと同時に、突き放すような冷たさを感じることがあって、次はメロディや歌詞が人懐っこいものになるといいな、と「夕焼け空のむこうがわ」を作り始めて、その最初にできた曲です。

「泣き」の要素はあまり考えず、幸せな、人懐っこい歌が心の隙間に潜り込んで、その結果として「泣き」に近い感情を引っ張り出せればいいな、くらいの意識でした。

最初にサビのメロディのアウトラインができて、ああ、これは良い曲になるぞ、という確信があって。一方で、どういう歌詞が乗るんだろう、という不安もあって。

サビのメロディを反芻しているうちに、ふと浮かんだのが「君とハナウタを」というフレーズで。たぶん、前後の文脈もなにもないところにポッと出てきたこのフレーズが、きっと偶然なようで必然に降りてきたような気がして、そのまま「ハナウタ」が仮タイトルになりました。

表現としてできるだけ捻らずに、それでいて惹かれるように。半径2m以内で収まる甘くてくすぐったい関係性が思い浮かぶように。ちょっとクサいくらいがちょうどいい、そんな歌になったと思います。

自分が今まで書いた中で、屈指のラブソングです。