かぜのねの吹くほうへ

ただそこにあるものを同じ色や形のまま

アネモネ

夏コミで頒布されるれにゃたさんの2nd Albumに「アネモネ」という曲を提供させていただきました。

https://rntbouquet.tumblr.com/

今まで依頼で作ってきた曲とは、少し毛色が違うかも知れません。かぜのねれこーど作品、dropnote作品ともまた違う雰囲気を持った曲だと思っています。

 数ヶ月前に、れにゃたさんから依頼を頂く夢を見て、それをTwitterにぼそっと書いたことがきっかけで、実現した楽曲提供です。晴れて正夢になりました。

 今回、詞曲のテーマとして「暗い」「可愛らしいモチーフ」のふたつが提示されました。まるで相反し合うイメージ同士に、どんな共通項を見出し、どんな文脈を与えてあげようか、という一点を考えることに、一番時間を割いたように思います。

 苦悩の最中に、ふと、花言葉図鑑を眺めていると、アネモネ花言葉が目に留まりました。日本語では「儚い恋」「恋の苦しみ」など。一方で、ヨーロッパでは「期待」。

「儚い、苦しい恋」と「期待」、相反する二つの感情が裏表になっているこの花が、楽曲に「暗さ」と「可愛らしさ」の両方を持たせられる理由になってくれるんじゃないか、と。もともと思い浮かんでいたCメロの詞と、まるで最初から同時に生まれたように混ざり合い、最終形になるまではあっという間でした。

マイナスな感情の中にもきっと振り幅はあって、望むことすら見つからないようなときもあれば、叶わないような望みを持ってしまうときもあって、作りながら、改めてそんなことを感じました。そういうような感情の濃淡や、コントラストの遷り変わりの中に、聴いてくださる方の想いの置き場があればいいな、と思います。

れにゃたさんの頭の中にあるCDの全体像と違う方向に行っていないか、数文字を変えただけで180°印象が変わる物語をどう収束させるか、など、こまめに擦り合わせつつ、その物語ができるだけの純度を保ったまま伝わるように、お互いに上手に舵を預け合って、とても良い作品になりました。

弱くて、強くて、強がってみて、やっぱり弱虫な影が、聴いてくださった方の心の中に、しっかり居着いてくれるといいな、と思います。